書き方の基本
定款における「事業の目的」には特に決まった書き方がある訳ではありませんが、会社が何の事業をしているのかを表す大事な「顔」でもあります。あまり突飛な書き方では奇異に見られますし信用も得られません。そして何より要件を充たしていなければ登記申請の審査が通りません。業務上必要な許認可を得ることなども意識して、お作法に則って記載していきましょう。
トップページでも述べている通り、定款は会社にとって憲法のような存在です。それ以外の事業を行ったからといって特に罰則がある訳ではありませんが、定款で定めた事業の目的以外の業務を営むことは基本的にできないものと考えて下さい。
逆に、定款で定めた事業を行わないことは自由です。事業の目的として記載されているからと言って、必ずしも行わなければならないというものではありません。ですから、将来行う可能性のあるかもしれない事業を含め、あまり具体的に絞り込まず幅広に記載しておくことが重要です。記載の数に上限もありません。
では何でも書いておけば良いのか、というとそうではありません。繰り返し述べている通り、会社の事業内容を示す重要な項目です。何でもかんでも記載しては、見た人にはいったい何の会社なのか理解できませんし、本業に取り組む姿勢をも疑われてしまいます。会社として信頼を得ることができなくなってしまいます。
本業として重要な順に、業務が周辺に広がっても構わないように、あまり詳細を固定してしまわないように記載しましょう。例えば「イタリアンレストランの経営」と書いてしまうと、思わぬメニューが好評で違う業態の二号店を出すことになったときに困ってしまいます。「飲食店の経営」と書いておけばこのような事態は避けられます。勿論、結果としてイタリアンレストランだけを経営し続けることにも何の問題もありません。但し、あまりにも漠然としていると何の会社か分からなくなるのでご注意下さい。
続いて、将来行うかもしれない事業を幾つか記載しておくと良いでしょう。行わなくても良いのです。広がりそうな分野であったり、興味があったりする事業を書いておけば、実際に業務が広がったときに煩わしい定款変更の手続きが不要となります。
目的の数には前述の通り上限はありません。とは言え、あまり多いのも考えものです。5~8種類くらいを上限にしておくのが無難でしょう。
最後は魔法の文言
さて、幾つか目的を並べたところで、最後の1行は通常は決まっています。
「前各号に附帯関連する一切の事業」と書くようにして下さい。目的が1つだけの場合は「各」を省いて「前号に附帯関連する一切の事業」とします。
この魔法の文言を書くことで、上に書いた全ての事業目的に「附帯関連する」業務がすべて行えることになるのです。「附帯関連する」ってどの程度の範囲を指すのだろう?と思うかもしれませんが、実際のところ、決まった範囲がある訳ではなく、少しでも関連性があればほぼ全てこの書き方でカバーされていると判断されるようです。
この1行だけは必ず忘れずに書くようにして下さい。