会社設立に必要な印鑑(実印)
会社を設立する際には、会社の実印を用意する必要があります。登記する時に実印を押印した印鑑届出書を法務局に同時に提出しなければなりません。また、払込証明書などの提出書類にも実印を押印します。
会社の実印(代表者印と呼びます)は、1辺が1cmを越え、3cm以内の正方形に収まるサイズと定められていますので、この基準に合ったものを作成するように気を付けて下さい。18mmサイズが最も一般的です。
また、通常は外枠と内枠で構成される二重丸型になっており、外枠には会社の名称が時計回りに入ります。内枠には、株式会社の場合は「代表取締役印」、合同会社などの持分会社やその他の法人の場合には「代表者印」と記載することが一般的です。個人名などは入りません。
注意して頂きたいのは、実印を注文するタイミングです。当然のことですが、会社の名称(商号)が決まらなければ印鑑を作成することはできません。従って、印鑑の発注は必ず類似商号調査を行った後でするようにして下さい。類似商号については要件が緩和されており、同一の本店所在場所に同一の商号の会社がなければ良いことになっています。自社オフィスでればその可能性はほとんどないとは思いますが、バーチャルオフィスなどを本店所在地にする場合には注意が必要ですし、念の為、必ず商号調査を行った上で印鑑を作成して登記するようにして下さい。また、登記できない訳ではありませんが、やはり同じ市町村内やすぐ近所に同じ商号の会社がある場合には避けた方が良いでしょう。
その他必要な印鑑(角印・銀行印)
登記にあたってどうしても必要な印鑑はさしあたって実印(代表者印)だけです。しかしながら、法人の活動に際しては様々な印鑑が必要になります。中でも角印と銀行印は必須と言っても差し支えありません。
角印は社印などとも呼ばれ、日常的に使用する印鑑です。どこかに届け出る性質のものではなく認印の性格を持ちますが、会社として対外的な文書などにも捺印するものですのでやはり重要です。請求書、領収書、見積書、実印を必要としない契約書、社内文書、等、幅広い目的に使用します。どんな文書にも実印を押印することは危険ですから避けて下さい。
印影が四角い形をしていることから角印と呼ばれています。実印よりは大きめのサイズで作成し、会社名を縦書きで刻印します。
銀行印(金融機関届出印)は、その名の通り、金融機関の口座開設に使用します。個人の銀行印と同様、口座が自分の名義であることを証明する大事な印鑑ですから、欠けたり破損したりしない丈夫な印材で作成し、大切に取り扱うことが必要です。
実印と同じように二重丸型で、外枠に法人名を時計回り、内枠には「銀行之印」と記載します。実印より小さめのサイズで作成することが一般的です。
必要な印鑑はセットで用意
上述の通り、当初必要な印鑑である実印(代表者印)、角印、銀行印の3種類はすぐにでも揃えておきたいところです。商号調査完了後すぐに注文することを推奨します。
別々に用意することもできますが、どうせならセットで揃えた方が良いでしょう。セットで購入すると割安になることが多い上に、同じ素材で統一感を持たせた方が見栄えも良く、更には3本揃って入るケースも同時に揃えることができます。多くの方は3本セットを購入することが多いようです。
その際、実印と銀行印はサイズや形状を分けることをおすすめします。角印は実印や銀行印のような丸印と形状が違うので区別しやすいですが、同じ丸印同士では印影の違いのみではどちらか分かりにくくなってしまいます。実印をくびれのある天丸タイプで作成したら、銀行印はくびれのない寸胴タイプにしたり一回り小さいサイズで作成したりしましょう。サイズだけでなく形状は別にした方が間違いは少ないでしょう。
印鑑のセットはインターネットで注文することが一般的になって来ました。実際、ネットショップが値段的にも安くなっており注文も手軽です。
印材の選び方
実印や銀行印は法務局や金融機関に届け出るものですので特に重要です。変更することも殆どないでしょうから、丈夫な印材で作ることが必要です。あまり安物で作成して破損してしまっては困ります。
とは言え、高級な印材が良いかというと一概にそうとは言えません。設立する会社にもよるでしょう。勿論、設立する会社はどれも重要ですし、会社が発展することは非常に喜ばしいことではあります。しかしながら、これからどんどん大きくしていき商取引を活発に行う目的で設立する会社と、個人の資産管理や不動産管理だけに使用する目的で設立しそれ以外に多くの取引をすることを想定していない会社とは同じではありません。それほど押印する場面の少ない法人で、あまり高価な印鑑を作っても仕方がないとも言えます。
一般的に人気が高いのは黒水牛です。比較的安価ですが丈夫で見た目も良い印材です。更に高級感や耐久性を求めるのであれば、もっと高いものを選ぶ人も多いようです。究極の素材と言われるチタンは値段も高価ですが、かけがえのない自分の会社の印鑑として人気が急上昇していると言われています。
コストを考えるのであれば本柘(薩摩本柘)が良いでしょう。いわゆる木の素材の印鑑と言えばこれを想像する方も多いと思います。更に安価なシャム柘(アカネ)もありますが、これは名称とは異なり柘の木から取れるものではなく、あまり重要な印鑑向けの素材ではないかもしれません。