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定款の絶対的記載事項

会社法により、定款に必ず記載しなければならない事項が以下のとおり定められています。

<株式会社の場合(会社法27条)>
・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
・発起人の氏名又は名称及び住所

<合同会社の場合(会社法576条)>
・目的
・商号
・本店の所在地
・社員の氏名又は名称及び住所
・社員の全部を有限責任社員とする旨
・社員の出資の目的(金銭等)及びその価額又は評価の標準

これらは一つでも欠くことはできません。目的(事業の目的)については、別ページで詳細に解説していますので、当ページではその他の項目についてご説明します。

商号

商号とは会社の名称のことです。原則として自由に定めることは可能ですが、幾つか制約がありますのでご注意下さい。

設立する会社の種別である「合同会社」や「株式会社」の文字を最初か最後に入れなければなりません。「Co.,Ltd.」や「LLC」のように英文に代えて登記することはできません。また、英文の商号を日本文字による商号と併記して登記することもできませんが、英文呼称を定款で定めることは可能です。

同一本店所在地で同一の商号を使用することはできません。旧商法では同一市町村内という制限がありましたが、現行の会社法では同一本店所在地に緩和されています。いずれにせよ、法務局において類似商号調査を行って確認する必要があります。
また、社会的に有名な企業に類似する商号などを使用すると商号使用差し止めや損害賠償の請求をされる可能性があるので避けるべきです。

使用できる文字にも制限がありますので注意が必要です。使用できる文字は下記の通りです。組み合わせて使用することもできます。
・漢字、ひらがな、カタカナ
・ローマ字(大文字及び小文字)
・アラビヤ数字
・「&」「’」「,」「-」「.」「・」の記号
(但し、記号は「○○会社」部分を除いた商号の先頭と末尾には使用できません。「.」(ピリオド)はローマ字の後であれば末尾に使用できます。)
・スペースは英単語の間の区切りにのみ使用可能です。
・また、「銀行」「保険」「信託」等の文字列や「支店」「支社」等の部門を表す文字列、有名企業の名称、公序良俗に反するものは使用できませんのでご注意下さい。
・ローマ字や漢字にフリガナを付して登記することはできません。

本店の所在地

定款で会社の本店の住所の所在地を定める必要があります。しかしながら、定款においては細かい住所まで定める必要はなく、最小行政区画までで足りるということになっています。最小行政区画とは市町村名まで(東京23区は区まで)のことです。通常はここまでを定款に記載します。(同一行政区画内での移転の際などの定款変更を避ける為、詳細な住所まで記載することはお勧めしません)。

但し、設立登記の際には本店住所を登記する必要がありますので、別途決議書等に記載して届出を行います。この場合でも建物名称や部屋番号まで記載する必要はありません。

株式会社におけるその他の絶対的記載事項

「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」(資本金のことを指します)、「発起人の氏名又は名称及び住所」を定める必要があります。

株式会社の資本金は、会社法においては下限の制限はありません。極端な話、資本金1円で設立することも可能ではあります。とは言え、1円では設立費用すら賄うこともできませんし、会社を運営することは困難ですので現実的ではないでしょう。

発起人は設立時発行株式を引き受ける者であり、株式会社設立時の出資者(株主)です。株式会社は発起人により設立されます。発起人は1人でもよく、法人であっても構いません。出資は金銭をもって行うことが一般的(金銭以外の財産で現物出資も可能)です。

また、定款の絶対的記載事項ではありませんが、設立にあたっては発行可能株式総数を定める必要があります。設立当初に発行される株式数の整数倍で決定します。将来の増資を見据えて多めに設定しておくことが一般的で、設立時発行株式数の10倍程度にすることが多いようです。(公開会社の場合は制限がありますが、小規模な起業の場合にはあまり気にしなくて構いません。)

合同会社におけるその他の絶対的記載事項

合同会社では出資する人を「社員」と呼びます(日常使用されている「従業員」という意味ではありませんのでご注意下さい)。それぞれの社員の氏名、住所、出資金額に加え、全ての社員が有限責任社員であることを定款に記載しなければなりません。

有限責任とは、社員は自らの出資額の範囲内のみ責任を負うということです。